ロンドンの、船上の鍼灸師の日記

2012年から客船で鍼師として働いていましたが、2017年からロンドンで治療家として働いています。治療のこと、クルーズのこと。色々綴っていこうと思います。ウェブサイトはこちら。https://www.junjapaneseacupunctureandshiatsuclinic.com/

2016-01-01から1年間の記事一覧

旬の感覚のズレとほうれん草

「冬からほうれん草を出荷しているのに、なぜ今も出荷しているのですか?旬で無農薬の野菜を購入したいと思っているのですが。」 先日お客さんからこのような質問を受けました。 我が家ではほうれん草を鍋の具材として用います。勿論、おひたしなどでも。 鍋…

「なぜ寿司は「SUSHI」になったのか」への一考察

タイトルのようなことを考えていた時期があります。 船で働くと全世界の人と話す機会があります。 彼ら彼女らが1番知っている日本の言葉といえば、"SUSHI"でしょう。 ちなみに、"HARAKIRI"、腹切もなぜか知っている人は多いです笑 それぐらいセンセーショナ…

外国の船で働くのに〇〇ができないと・慣れないと。。。 その5 どのように私は馴染んでいったか

結論から書けば、私は馴染めなかったなぁと思います笑 社交的ではないですし、自分から積極的に話しかけていくタイプでもないので。。。 初めは友達を作ろうとパーティーに毎回参加したり、スパの同僚がスパ以外の人と出かけるときに一緒に出かけたりしまし…

外国の船で働くのに〇〇ができないと・慣れないと。。。 その4 船会社毎のコミュニティ

前回書いたように、船で働きだすと、まず船自体に戸惑いを覚えます。 それとどうように戸惑うのが船のコミュニティです。 私は4回の契約で計3社のクルーズ会社で働きました。(私が属すスパの会社は同じなのですが、そこが色々なクルーズ会社と契約を結んでい…

船で働くのに〇〇ができないと・慣れないと。。。 その3 環境

アメリカ領プエルトリコの空港から約20分ほど。 開けてくる大きな港。 今まで見たことのない大きな船、しかもタンカー船とも戦艦とも違う、琵琶湖に浮かぶミシガン(遊覧船です)とは比べ物にならない規模の船がひしめき合って停泊していました。 もしクルーズ…

外国の船で働くのに〇〇ができないと・慣れないと。。。 その3(寄り道)

次は「船という環境」についてです。 まず初めての船に乗るまで、一悶着があったので書いてみます。 私は船に乗るに際し、まずカリフォルニアのロングビーチで研修を受けました。 その研修は3日間の予定でした。 「予定でした」と言うのは意味があり、会社か…

外国の船で働くのに〇〇ができないと・慣れないと。。。 その2 英語習得はやはり環境が重要では

苦労した点その1は英語です。 試験パスしたのにどうして苦労するんだ!と思う人で、もしTOEICやTOEFULを受けられた方ならわかると思います。 例えTOEICで高得点を取っていても、すぐに海外で生活したりビジネスシーンで活躍できません。 テストはあくまでも…

外国の船で働くのに〇〇ができないと・慣れないと。。。 その1

3年船で働いていると、日本人は一般的に英語が話せないと思われているからか、「あまたは英語がうまいね。」と時々言われます。 「どうやって英語を勉強したんだ?」とも質問されましたが、「なんとなく」としか答えられません。 留学もしたことはありません…

船で初めて診た患者さん その3

「何も知らない上に、心の準備ができてないのに。。。」 もちろんそんなことは思っていても言えません。今でなら、「やった!」と思えますが、その時は「うまく施術できるのか。。。」と言う不安で押し潰されていました汗 今でも、待合室にいた患者さんが笑…

船で初めて診た患者さん その2 初めてのエンバケーションデー(乗船日)

船ではエンバケーションデーと言う日があります。 日本語で言えば、「乗船日」、つまり、ゲストが船に乗ってくる日です。 その日はゲストを迎えるために各部門が各部門ごとにゲストを迎えるウエルカムデーとなります。 特に私たちスパ(私が働いていた会社で…

船で初めて診た患者さん その1 若く見られてしまうアジア人

ご存知の方も多いかと思いますが、アジア人はえてして若く見られがちです。 私は今年32になりますが、20代前半とさえ言われたこともあります。 治療家にありがちなのが、若いとみられると、この人は未熟だと思われて信用されないため、鍼を打って自分として…

船で鍼師として働いてよかったか

タイトルのように自問することがあります。 答えは「イエス」です。 なぜなら、他の同年代の鍼灸師より度胸がついたと思うからです。 度胸。 そんなものが、鍼師に必要かと思うかもしれません。 経験と言い換えても良いのかもしれませんが、経験とだけ言うに…

船禁断症状

船を降りて数ヶ月経とうとしています。 船と船との間の休みはだいたい2、3ヶ月です。 目安は1ヶ月につき、陸地での休みは1週間だと言われています。 過去3回の休みも2~3ヶ月の間だったので、ちょうど今ぐらいが本来であれば日本を離れている時期です。 少し…

「旬」のリズム

有機食品の会社で働き始めて実感できたことの1つが「旬」です。 みなだんご存じだと思います。 世の中にはリズムがあり、りんごにはりんごの、白菜には白菜の、さつまいもにはさつまいもの旬があるということを。 でも、それがどういうことかは、わかってい…

次も船に乗るのか その5 イギリスのために日本で働く

その条件とは、「日本で一年働くこと」です。 イギリスで働くビザ発給にあたり、日本でその会社で一年働いたと言う実績がなければ、発給できないためです。 つまり、日本の会社から転勤という形になるわけです。 その会社は、ロンドンではクリニックを経営し…

次も船に乗るのか その4 ロンドンを選ぶまでの道のり

その条件を述べる前に、そこに至るまでの道のりを書こうと思います。 実は船に乗る前に、海外で鍼灸師として働くことは出来ないのかと色々情報収集をしていました。 もう四年近く前の話になります。 その当時はまだ30歳未満だったので、ワーキングホリデービ…

次も船に乗るのか その3 どういう選択肢があるか

陸地で働くが、日本ではない。 まあつまりは海外なわけです。 実は船を降りる数ヶ月前から、次はもう乗らないと決めていたので、アンテナを張り始めていました。 海外にいる友人に聞いたり、サイトをしらみつぶしに見たりなど... しかし、30歳を越えて就労ビ…

次も船に乗るのか その2 どうして船に乗ろうと思ったか。

そもそも、どうして船に乗りたかったのか。 それをまず考えることにしました。 「世界をもっと見てみたい。」 そんな月並みな気持ちもあります。 でも、本当は違います。 「将来も日本に居続けることが不安」 と言う、とてもネガティヴな発想から私は船に、…

次も船に乗るのか その1 なぜ船に乗りたくなくなったか

2012年の12月から約3年、合計4回会社と契約して船で働いてきました。 契約の終わり頃になると、次はどうするのかマネージャーに聞かれ契約を更新してきました。 今までは、もう一度船で働き世界を見ようという気持ちが毎回芽生えていたのですが、今回はその…

なぜメキシコ人は英語を話せるのにスペイン語を話すのか?への考察 その2

「私たちはメキシコ人なんだ。どうして英語を話す必要があるんだ?」 この答えを聞いた時、私はまず「日本人ならこういう回答はしないよな。と思いました。 日本人には英語を話すことに対する憧れ、逆の見方をすれば話せる人への劣等感があるように思います…

なぜメキシコ人は英語を話せるのにスペイン語を話すのか?への考察 その1

私が働いていた船は、飛鳥のような日本の船ではありませんでした。 オーナーはイタリア生まれのモナコ人ですが、船での公用語は英語なので、アメリカ人、イギリス人を中心に世界中からゲストが来ていました。 その中で、個人的に興味深かったのが南米人特に…

ウォシュレットが懐かしかった日々 その2ー さあどうするか

2012年の12月から船で私は働いていますが働く前から、海外にはウォシュレットはないと聞いていました。 まして、自分の船室なんてゲストじゃあるまいしないのは当然だろうなと考えていました。 でもその一方で、やっぱりウォシュレットは欲しい。 どうしたも…

ウォシュレットが懐かしかった日々 その1ーモナコの高級レストランのトイレ

前回の記事で、「日本食とウォシュレットが恋しい」と書きましたので、今回はウォシュレットについてつらつらと。 海外旅行をされた方ならご存知と思いますが、日本以外でウォシュレットのトイレを見ることはほとんどありません。 モナコで、カジノの前にあ…

醤油味が懐かしかった日々

無事に日本に帰ってきました。 日本は暖冬だったんですね。 びっくりするぐらい暖かくて驚きました。(近日はびっくりするほど寒いですが) もしあなたが船で働いてるとして、帰国したら何をしたいでしょうか? 私は常々ゲストに「日本のご飯とトイレが恋しい…

日本人の細やかな気配りとは言うけれど、それは本当なのかと言う疑問があった。

これまで船で働くのに、色々な航空会社を人並みに使ってきました。 その中で、お金があまりないせいもあり、日本の航空会社を使うことがなかったのですが、久しぶりに乗って感じたことをつらつらと。 それはやはり日本人は細やかな気配りができるというもの…

日本じゃないけど日本にいなかったせいで日本と錯覚する@ロサンゼルス国際空港

サンフランシスコでの乗り継ぎは本当に大変でした。。。 1時間半しかなかったにも関わらず、飛行機は遅れ、また国内線から国際線へ乗りつぐために、必死のパッチでトラムに乗り込み何とか国際線のターミナルへ。 夜も12前だったこともあり、ガランとしていま…

チーズとグァバ? 未知なるキューバンスイーツ

フロリダから日本に帰る日がやって来ました。 実はヨーロッパからアメリカに来た日は船員にとって最も緊張する日の一つです。 なぜなら、USPHと言うアメリカの沿岸警備隊の実施するクルーズ船に対する監査が入る日だからです。 もちろんその日に船を出る私や…

大西洋を横断するその5 忍び寄る時差

大西洋や太平洋を横断した時、飛行機の横断と違うのが時差の感じ方です。例えば、アメリカとイギリスでは5時間の時差がありますが、飛行機ではこれを一気に感じるのに対し、船では1日1時間(時々2日で1時間)時差が生じ、1日25時間という日が5日発生してマイア…

大西洋を横断する その4 24時間ジェットコースター

マデイラ諸島を抜けると、 日間の海が待っていました。日間海の上にいるという感覚。皆さんはどう思われますか?海水浴で海にずっと浮かんでいて気持ちがいいのかも。そう思われる方もいるかもしれません。でも、そんなに甘いものじゃあない汗まず、海水浴の…