ロンドンの、船上の鍼灸師の日記

2012年から客船で鍼師として働いていましたが、2017年からロンドンで治療家として働いています。治療のこと、クルーズのこと。色々綴っていこうと思います。ウェブサイトはこちら。https://www.junjapaneseacupunctureandshiatsuclinic.com/

子供の初めてのあくび→アリクイはあくびで口を開けない

子供が初めてあくびをしました。子供が後ろハイハイをした時も、「おー!」って不意に子供の成長を感じることがあります。

 

 掴まり立ちをしだしたこの時期だからこそ、頚椎の前弯がしっかりすることで頭蓋が背骨全体で支えられるようになったのかな。そういう条件が整った時に初めて、「上顎を自由に開ける=あくびができる」のかと想像してみる。

成長した時にどうしてそれができるようになるのかを考察するのはとても面白いです。

人があくびをすると自分もしたくなるというのは何かの心理実験で聞いたことがありますが、もっと生理的な意味ってなんだろう。

 

www.dplay.jp

この記事を見てみると、あくびの定義なんて実は決まっておらず、口を大きく開けて閉める行為のことを指すものでしかないことがわかります。求愛や威嚇のために人間はあくびしないし

 でもほぼ全ての脊椎動物があくびをするというのが事実なら、あくびに背骨が必要だというのは言えるんだろう。

 

あくびって面白いなと思って他にも検索してみたらアリクイのあくびが出てきました。これはもはや、あくびじゃなくて伸びです。

www.higashiyama.city.nagoya.jp

 

解説の中で出てくる、「アリクイは体の構造上開けらない」という一文。気になるな

X線とか見たい!ということで画像検索をしたらアリクイの骨格が出てきました。

 

www.google.co.uk

このアリクイの写真は以下の写真家さんのものらしいですが、骨の構造が綺麗にみえてとても勉強になりました。(買ってしまった)

eiji-yuzawa.com

 

写真を見る限り、第7頚椎で首を動かして、第2頚椎で顔を微調整するんだろうなと思う。構造上開けられないってどういうことなんだろうと思いさらに調べてみると面白い記事が出てきました。

www.nhk.or.jp

 

抜粋しますと、

「アリクイの顎には、歯を使って餌を噛み砕く機能は無いのです。つまり口をひらいて噛む構造になっていない、これが口を開かない理由」

「アリクイの長い下あごは左右の対に分かれていて、長い下あごを左右別々に動かすことが可能」

「舌は1メートル近くまで伸びるとても長いものですが、狙いを定めるために、左右の顎をできるだけすぼめて舌を発射しているのです。逆に捕まえたアリをのどへ運ぶためには、舌を口の中に戻さなければなりません。戻すときは口が大きくないとうまく舌を収納できませんから、顎をハの字に開いて、できるだけ口の体積を広げるのです。」

「動物にとって、顎は物を噛むために開閉する装置だったはずですが、このアリクイにおいてだけは、アリを捕まえるために、舌と同期・シンクロして動くという、まったく別の機能をもっている」

 

 横の骨格模型ではみえないが、下からアリクイをみると下顎骨が2つに分かれてるんだろうなということがわかります。第2頚椎を軸に使って、左右の下顎の微調整をしているんだろな。(もし第2頚椎に顎を動かすというのが普遍性であるなら、人間が左右に顎を動かすという行為もC2で調整できるのかも)

脊椎動物における歯と顎の関係が、アリクイにおいては舌と顎の関係になっている。「食べる(=ものを細かくする)」が普通上下の空間で行われているのに、アリクイの場合は左右の空間で行われている。

何れにせよ重力を用いて自分の力を利用するのは変わらないと思いますが

 

変わった動物だなぁと思い、生態も気になって調べ見たら、これが驚きの連続。

animalwritting.seesaa.net

 

「最大の特徴は、胃酸がつくられないことでしょう。ではどうやって消化するのかといえば、アリの持っているギ酸を使います。オオアリクイにとって、アリはエサであり胃液でもあるのです。しかも哺乳類の胃でありながら、鳥類がもつ砂のうと同じ働きをします。硬い胃壁が激しく収縮し、食べた砂や土でアリをすりつぶすのです。オオアリクイの胃は、エサを細かく砕く、歯の役割も兼ねています。」

オオアリクイは超早食い。1回の食事を1分で終えます。アリの巣(またはアリ塚)に顔を突っ込み、60㎝の長い舌を出し入れしてアリを飲み込みます。舌の表面はとても粘着力が強く、舌に触れたアリはもはや逃げられません。1分間で150回も舌を出し入れし、1000匹以上のアリを腹に収めるのです。」

 

アリを食べることで、アリの中にある酸を使ってアリを消化、吸収する。すごい複雑ですが、アリを食べる(甲虫の幼虫や果物を食べることもあるそうです)ことに特化することでこういう生態を生み出したのか生み出さざるを得なかったんだろうな。

でも冷静に考えれば、私たちがヨーグルトを食べることでビフィズス菌や乳酸菌を腸内に住まわせるのと根本の原理は変わらないですよね。

 

アリクイって面白いな。あまりにもかけ離れた生態すぎる。

背骨があったり、あくびをするというのは共通だけど。

 

アリクイのイラスト

 

 

 

#アリクイ #あくび #奇妙な生態 #子供のあくび