鍼治療で妊娠誘発剤を使わないようにする。
私には2019年に生まれた娘がいます。子供の体重はイギリスにおける平均体重に比べて低いと言われていました。
37週目の検診でも「骨の長さから推察される体重がグラフでは基準以下である」という診断が下り、様々なリスクを考慮して40週で陣痛誘発剤を打って子供を出そうと医者に言われました。
妻は誘発剤に反対で、39週にプライベートクリニックでエコーを取って胎児の状態をみようかという話になりました。そのため37週から自然に子供が生まれるように、更に頻繁に妻を治療するようになりました。37ー42週がいわゆる自然分娩とされる期間です。40週が目安ですが、もちろん37週目で生まれても何も問題がありません。
元々陣痛が来たら鍼で産みやすくするようにサポートしようと考えていて、使うツボもアイデアがありました。どうすれば妊婦が産みやすいかと考えた時に、「子宮周囲と大腿骨の内側に自分の力を伝えやすくする」のが答えだと思いました。
妊婦さんはお腹が大きくなると、ペンギンのような歩き方をするようになります。つまり、足を外側に大きく捻って歩きます。また両腕もお腹につられて、脚と同じように外側に捻った状態で歩きがちです。体幹の筋肉が弱いと、そういう歩き方に慣れてしまった妊婦さんは出産時に下腹部の中心、つまり子供を産むための力を込めることは中々難しいです。
子宮に力を伝えにくい徴候として、妊婦になると足がつりやすくなることが挙げられます。
妻も妊娠してから足がつりやすくなりましたが、構造的な観点から考えた理由は以下のものです。(他にも思いつく方がおられたらメッセージいただければ幸いです)
『お腹が大きくなるにつれて腰を軸としてがうまく使えないため、歩く時にふくらはぎでバランスを取ろうとし筋肉が硬くなる。(血流不全が起き酸素不足になり、足がつる)』
動きの考察から動かせていないところを探して症状を改善させる”整動鍼”を治療の軸とする私としては、これは得意とするところです。
早速、ふくらはぎの調整をして股関節から足の先へ力がスムーズに伝わるよう調整したところ、足がつらなくなりました。また、「歩く時に(ポジティブな意味で)陣痛のような痛みが来るようになった」と彼女が言ってたのは嬉しいコメントで今でも覚えています。
もちろん、下肢に力がスムーズに伝わるようにするだけでなく、外側に捻れた上肢も調整して、上半身の重みが骨盤に伝わるようにもしました。(→そうすることで下腹部に力を入れやすくなります)
最終的に、私の妻は結局誘発剤を使うことなく40週目に8時間半かけて出産しました。初産としては悪くはない時間です。ずっとそばにいましたが、24時間以上かかった妊婦さんもいる中で割に苦しくなく産まれたように思います。
もちろん彼女は本当に痛かったと言っていましたが、自分の髪の毛が抜けるほど強く握ったり、普通では考えられないような声で叫んだりもありませんでした。
大声を出すということは、声を出して空気を押すことで子宮に力を伝えることです。それがなかったということは、声を出さなくても力を伝えることができたからだと感じています。
彼女自身もお産を振り返って、「治療とヨガのお蔭で短時間に出産できたと思う」と言ってくれました。
「大きくなったお腹のせいで下腹部・太ももの内側に伝えられなくなった力を力みやすいように、いかにバランスを変えるか」という視点は正しいと思うし、妻のお産で実感を得ました。
出産間近で誘発剤や帝王切開をしたくないという方がおられれば、鍼を受けてみられてはいかがでしょうか?
薬に頼らなくてもできることってきっとあります。
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