自分なりの身体観からの健康と身体の根本
今週のお題「2020年の抱負」
去年の年末に、不意に思ったことがあります。
それは「根本を治療する」ってなんだろう。
来年はそれに向かっていくことを考える一年になるんじゃないのか。
そういう予感がよぎりました。
この業界に入って13年目。自分なりの身体観は考えてきたつもりで、どういう身体が健康なのか?ともし患者さんに聞かれたら、
1. それぞれの骨が骨として独立した存在でありながら、違う骨と連結をみせる
2. それぞれの臓器がそれぞれの臓器の形をする
3. 上記の2つを踏まえて、全ての組織が均等に引っ張り合い、360度均等な遊びをもつ
という風に答えます。
わかりにくいので例を出します。
「骨が骨として独立する」
慢性の腰痛をもっておられる人に多い形として、骨盤と背骨がくっついているような方がおられます。それはそこをマッサージしたりしてもなかなかはがれません。
全体をよくよく観察してみると、そういう方は股関節が固まっていることも多く、関節の可動性を考えると、本来とても柔軟性のある関節である股関節が様々な理由から固まり体重を支える機能が低下したために、股関節の役割を仙腸関節や腰仙関節(つまりは骨盤と背骨との関節)などに代用してもらうため、腰全体がにっちもさっちもいかないぐらい固まってしまうわけです。
柔軟性のある関節は隙間を見いだしやすいと考えているので、そこの遊びを作っていくことで、あまり柔軟性のない関節が結果的に遊びができてきます。
そういう作業の先の理想形として、「それぞれの骨が骨として独立した存在でありながら、違う骨と連結をみせる」があると思っています。
「それぞれの臓器がそれぞれの臓器の形をする」
はっきり言って意味がわからないと思いますが、例えば内臓って言われると下のようなイメージを持たれると思います。
ところが、いざ服の上からお腹を触ってみると、そんな各々の形はしておらず、ただただお腹としてポコーンとしたものに触れられるだけのように思います。ところが、何千人とお腹を触って治療をしていくと、小腸が小腸らしく、大腸が大腸らしくなってくるのです。
つまりポコーンとしたものがすごく細かく分かれてきて、上の図のように臓器ごとに枝分かれしてきます。
臓器が臓器らしくなって形が整ってくると、その臓器の機能が昂まってくるように僕は考えています。
そしてそういう作業の理想形として、「それぞれの臓器がそれぞれの臓器の形をする」があります。
実際、そういうアプローチをして僕は色んな内科的疾患を治療してきました。
その2つを統合していくことで、最後に書いた「全ての組織が均等に引っ張り合い、360度均等な遊びをもつ」が生まれて、それが健康という状態に一番近いのかなと考えています。
今年はこの考えを自分の意識の底に持って全ての方を診ていけたらなと考えています。
ご縁のある方、今年もどうぞよろしくお願いします。
症例報告 〜めまいと身体のバランス、癖?? 職業とめまいの関係性〜
私は経絡の流れなどをベースとしたものではなく、患者さんの動きや癖、構造などを分析して症状を取り除く「整動鍼」というやり方をベースに治療をしています。
症例報告を挙げますと、
30代男性 電気技師 主訴: めまい及び左腕の重さ
3ヶ月前から原因はわからないが、めまいと左腕の重さに悩まされる。
身体のバランスをチェックしたところ、全体の重心が上に上がってしまっていた。仕事柄、配線などの作業で腕を上に上げることが多いとのこと。それが重心が上にある要因の1つと考えられる。
また、背中のバランスをみたところ左肩甲骨の内側に強い筋肉のコリがあり、ここを軸にして様々な作業をしていることがわかる。
このコリがバランス感覚のズレを引き起こし、めまいにまで発展したと考え、左の背中のコリを除くことを主眼にすえて治療を行った。
1度目の治療後は効果があったか判定できずに治療を終えた。
1週間後に2回目の治療を行なったところ、1週間めまいがなかったが念のためにきたとのこと。1度目と同じ治療を行い、治療を終了しました。
私は「痛み」であっても、また「めまい」のような内科や耳鼻科に分類される症状であっても、身体の癖や崩れた構造が、その症状を引き起こしていると考えています。私の考えは、苦しんでおられる症状は結果であり原因ではないというものです。
ロンドン在住で、様々な症状でお悩みの方がおられましたら、ぜひ一度ご相談ください。
症例報告 〜外反母趾と腰痛と〜
私は経絡の流れなどをベースとしたものではなく、患者さんの動きや癖、構造などを分析して症状を取り除く「整動鍼」というやり方をベースに治療をしています。
症例報告を挙げますと、
50代女性 会社員 主訴: 右の腰痛
引越しの準備のために重い荷物を持ち上げることを続けていた結果、右側の腰に痛みが出る。物を持ち上げたり、体重を乗せた時などに痛みが出てしまう。
全体のバランスを観察したところ、右の外反母趾が酷く、足首及び足の指で支えなければならない体重を膝や腰で普段から支えている姿勢であるために生じた腰痛であることがわかる。
そこで、過負荷がかかっている太ももへ鍼をしたところ、痛みが消失。外反母趾が悪化しすぎないようにふくらはぎのバランスをとりつつ、治療を終える。
とても満足して帰られました。
このように、思わぬところに痛みの原因が潜んでいることがあり、それを除くと痛みがすぐに消失することもあります。
私の考えは、痛みは結果であり原因ではないというものです。
ロンドン在住で色々なところへ行っても痛みが取れなかった方がおられましたら、ぜひ一度ご相談ください。
整動鍼とは?
症例報告〜生理周期に関係した腰痛〜
私は経絡の流れなどをベースとしたものではなく、患者さんの動きや癖、構造などを分析して症状を取り除く「整動鍼」というやり方をベースに治療をしています。
症例報告を挙げますと、
50代女性 会社員
主訴: 右側の腰痛
排卵期から生理中にかけて腰が痛くなるのがずっと続いていて、特に屈んで顔を洗う時などに痛みがでる。片手を壁につけながら必死に顔を洗っているとのこと。患部及びその周囲はとても固く、板が入っているようであった。
周囲を緩めていく上できつい刺激は痛みを悪化させると考え、違う場所からアプローチしていくことにする。改めて痛みが出る前に屈む動作をしてもらったところ、腰ではなく下肢全体の動きが悪いため腰痛を引き起こしていることがわかった。股関節、ひざ、足関節がうまく連携がとれるようにすねのツボに鍼でアプローチしたところ、痛みがほぼなくなり前屈がスムーズにできるようになる。
生理周期と痛みが絡むケースの場合、生理の活動が全身の活動に影響を及ぼすことがあります。今回は痛みを取り除くために来られましたが、逆に考えると、生理によって影響が及んだ箇所を修正していくことで、生理の状態改善していくこともあります。
生理と関連した痛みや、生理痛に悩みをお持ちの方がおられて、ロンドン在住の方がおられましたら、ぜひ一度ご相談ください。
症例報告 〜肘から親指が腕を内側に回すと痛い〜
僕は経絡の流れなどをベースとしたものではなく、患者さんの動きや癖、姿勢などを分析して症状を取り除く「整動鍼」というやり方をベースに治療をしています。
症例を挙げますと、
30代男性 美容師
主訴: 腕の痛み(肘から親指にかけて)
職業柄、腕を酷使することもあり、親指の付け根あたりに腕を内側に回すと痛みがでる。肘の外側からその痛みがひろがり、親指の付け根にくる。
腕の回し方をみると背中からうまく指先に力が伝わっていないことがわかる。
そのため、デモンストレーションとして背骨の際にあるツボを押しながら腕を回してみてもらうと痛みがほぼ消失。そこに鍼をし、また、バランスが悪くなってしまった前腕の骨(橈骨と尺骨)の調整をすると、ほぼ痛みがなくなる。
このように腕に問題が起きている場合でも、全体の動きをみてみると、背中の問題が腕の痛みを作っている場合があります。
ちなみにこのアプローチはテニス肘やゴルフ肘、親指を動かすと痛いなど様々な痛みにも対応できます。複数回かかることもありますが、1度で痛みがほぼ消失することも少なくありません。
私の考えは、痛みは結果であり原因ではないというものです。このように身体の構造から答えを導いて痛みを取り除く方法も存在します。
ロンドン在住で色々なところへ行っても痛みが取れなかった方がおられましたら、ぜひ一度ご相談ください。
整動鍼との出会い
整動鍼との出会いはクルーズ船で働いていた時に遡ります。
クルーズの日程は7ー10日間であることが多く、その中で結果を出すことが求められます。
中国の鍼のスタイルは痛みが戻ってきたとしたら、痛みが戻る前にもう一度来いということで、毎日とか1日2回乗船中に来なさいというアドバイスをしていたと聞きます。
私はどうしてもそのような考え方に納得がいかず、1〜3回の施術でどうすれば症状を取り除けるか苦心していました。
そうした中で出会ったのが、「動きの不調和を調整して痛みを取り除く」という整動鍼でした。
船で出くわす症状の1つが「足の裏に痛みが出て歩けない」というものでした。
それまでは経絡の流れを考えたり、足の裏に直接鍼をしていました。ご存知のようの足の裏はとても痛く、刺す度に申し訳ない気持ちになるもイマイチ結果が出ないという状況だったのが、この整動鍼の視点から足をみることで結果が劇的に変わりました。
つまり、「下肢のバランスが崩れて動きに不調和が起きることで、足の裏に痛みが出てしまっている。」という解釈で足の裏の痛みを治療するわけです。
経絡で行き詰まっていた私にとってこの視点の変化は、僕にとって天動説が正しいとされていた世の中で地動説を唱えて常識をひっくり返したコペルニクスのようでした。
そうして整動鍼に出会い、今に至ります。