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英国の、船上の鍼灸師の日記 the diary of acupuncturist on Great Britain, cruise ship

2012年から客船で鍼師として働いていましたが、2015年はイギリスで働くために有機食品の会社で働き、2017年からロンドンで再び治療家として働いています。治療のこと、クルーズのこと、食べ物のこと。色々綴っていこうと思います。

辛いものと痛みの関係

「左肩がズキズキ痛んで眠れなかった」:カプサイシンは辛味成分それとも痛み成分? : 「脳‐身体‐心」の治療室

 

いつも拝読している守屋先生のブログの上記の記事が面白く、知人にみせたところ、「『この患者さんも、カプサイシン受容体の閾値が低下して痛みを発症したのだろう。』とあるけど、なぜ閾値が低下するの?」「カプサイシンの受容体は肩にないのに、なぜ肩に痛みが起きたの?」と聞かれました。

答えに窮してしまったため自分で調べて回答したのですが、面白い現象だと思うので、ブログにも載せます。

 

「TRPチャネルと感覚ー痛みと温度感覚に焦点をあてて」http://www.microscopy.or.jp/magazine/46_4/pdf/46-4-222.pdf(富永真琴教授)の中で、

カプサイシンの受容体であるTRPV1はリン酸化等のタンパク質収縮によって、機能増強が起こることが知られており、熱による活性化閾値温度が変化する」。

また、「組織炎症が起こると、炎症関連メディエーターが産生・放出されるが、それら炎症関連メディエータがそれらの代謝型受容体に作用してタンパク質リン酸化酵素が活性化しTRPV1をリン酸化する。その結果、TRPV1の活性化温度閾値が大幅に低下して体温が活性化温度刺激になって恒常的な活性化が引き起こされて急性炎症性疼痛を引きおこすと考えられている。」とありました。

 

つまり、炎症がある場所に起きていた場合、その炎症を脳に伝える受容体がTRPV1を過敏にさせるように働きかけてしまう現象がおきてしまう(機能増強が起きるため、閾値が下がる。)わけです。

守屋先生も書かれておられるように、「辛み」は「熱」や「痛み」に近い感覚です。

そのため、普段なら閾値以上にならず興奮しないカプサイシンの量でも、炎症が起きている場所はTRPV1が過敏になってしまっていて閾値が下がっているため、痛みを感じやすくなってしまうわけです。患者さんの場合、普段よりも大量のカプサイシンをとったわけですから、より生じやすくなります。

 

よって、知人に言われた「カプサイシン受容体の閾値が低下してしまう」ことと「肩に痛みが生じる」という文が成立するわけです。


ちなみにその代表例は、海水浴による日焼け後の痛みです。

日焼けをしすぎると、身体がやけどし、背中が赤くなります。そんな時、普段何も感じない温度のシャワーを浴びても痛みを感じます。

その現象は、炎症が起きて背中のTRPV1の閾値が下がっているため、普段熱く感じない(脳はある温度以上のものを痛みと感知します)ものを痛いと思ってしまうから生じています。

 

知人のこうした疑問でまた1つ身体の仕組みを知ることが出来ました。

感謝感謝。

 

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カリブ海に浮かぶアルバという国のビーチ。

飛行場が近いビーチはカリブには結構あります。