海外で育つ日本人の日本語の現実
僕の娘はイギリスで日本人夫婦の元で生を受けました。
彼女は日本で生まれた親を持ちつつ、イギリスで育っていくことになります。父親(僕)はコミュニケーションは英語でできるけど流暢と言えるレベルからは程遠く、妻はこっちで育ったので日本語も読み書きできるし英語も話せるような環境で。
2歳半になる娘をもって、最近日本語とか日本人とか日本っぽさについてよく考えます。
イギリスないし外国で生まれ育つ日本人(ないしハーフ)の日本語は、日本で産まれ育った人からすると想像できないと思います。
例えば、
1)衣服に関して全てを「着る」と言ってしまう。靴を着る、帽子を着る など。
2)男の子なのに女性言葉で話してしまう
などなど
それはどうしてだか考えたことはありますか?
1)は英語の場合、wear the hat, wear the shoes など、衣服に関してwearという単語を使います。そのため、その感覚で日本語を使ってしまいます。
その子にとって、靴は履くんじゃんくて着るだし、帽子は被るんじゃなくて着るものです。
2)はお母さんが日本人でお父さんが外国人だと、普段接する言葉はお母さんの言葉、つまり女性言葉となってしまいます。幼稚園でも学校でも日本語を話す人がいなければ、普段接する日本語はお母さんの日本語しかありません。
それだと、その言葉しか使えなくなってしまうのは当たり前です。
アニメで育った人がアニメ言葉で日常会話をしてしまうのと同じです。
こういった例からもわかる通り、海外で生まれ育つ日本人の日本語は彼らに悪気がなく、日本で生まれ育つ日本人からすると変な日本語になります。
でもこれは逆に言うと、日本で普通に勉強した外国語が現地の人からするとどうしても変に聞こえてしまうんだろうなとも想像します。
日本語の家庭教師をつけて日本で学ぶのと同じぐらい流暢な日本語を身に付けるか、はたまた最低限だけさせて日本語を勉強させないか…
イギリスに永住している日本人の親の間でよく言われることの一つに「イギリスで日本語を話せてもあまりアドバンテージがない」と言うものがあります。
たとえば、仮に日本語が話せたとしても勤めるのに有利になるのは日系企業のイギリス支社でしょう。
そこで現地採用の社員として働く場合、日本から来た駐在員からは日本語が話せるということでこき使われ、現地のイギリス人からは日本語も英語もできると言うことでこき使われるらしいとのこと。
これは結構よく聞く話で、よく言えば駐在の方と現地の方の橋渡し、悪く言えば両方からこき使われる、しかも給料は現地のままとなるそう。
イギリスの会社で採用されず日系企業でしか採用されなかったという見方もできるので仕方ないと言えばそれまでですが…
採用という観点で言えば、イギリスではなく日本で現地採用されて日本で働くことを望む人も多くいるそうで、それはイギリスの逆で英語がきちんと話せる人が少ない日本だからこそ帰国子女より英語が強い即戦力として日本では重宝されると聞きました。
日本で働きたいかどうかがネックになりますが、それさえ構わなければ、自分のキャリアと比較すればそれ以上の給料がもらえることもあるそうです。
ものは考えようです。
2歳半になった娘はまだ日本語を話し始めたばかりです。
そんなことを考えるのは早すぎるんじゃないかなと思う反面、今から考えて親としてどういうスタンスで接すればいいのかを決めるのに早すぎることはないのではとも思ってしまいます。
色んな患者さんに聞いていますが、答えはないというのが答えです。
どうしますかね…
#海外子育て #日本語 #海外永住