ロンドンの、船上の鍼灸師の日記

2012年から客船で鍼師として働いていましたが、2017年からロンドンで治療家として働いています。治療のこと、クルーズのこと。色々綴っていこうと思います。ウェブサイトはこちら。https://www.junjapaneseacupunctureandshiatsuclinic.com/

身体のバランスが変わっていく。身体の捻れが戻っていく過程を体験する。

2週間に一度来て頂いている患者さんがいます。

始めはお酒を飲むと頭痛が出て、何をやってもうまく取れないということで来院されました。

色々なことをストレスで片付けるのは簡単ですが、構造的にどうして頭痛が取れないのか色々考えてアプローチすることはできます。

というより、治療というのは「治療家の持っている尺度にその方の状態を当てはめてみる」ということだと思っています。映画の「メッセージ」で、言語学者が地球外生命体の発していた言葉を理解するように、患者さんから発せられている情報からどうして今苦しんでおられることが起きているのかを理解する作業が治療だと思っています。

 

右目の裏に頭痛が出るということで右側に注目していたら、構造を見ると頭から首にかけて捻れていて右→左へのラセン構造が身体の癖としてありました。(専門的に言うと、アナトミートレインでいうスパイラルラインにあたります。)ということで、左の脇へアプローチしたら頭痛が改善していきました。

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参照:アナトミートレイン

 

それが安定し始めると僕が患者さんの左腰が気になり始めました。話を伺っていると、左腰が不安定な感じがずっとしていて骨盤に腰をはめる癖があるとのこと。(これも先程出てきたスパイラルラインの影響によると考えています)そのために以前やっていたランニングもやらなくなっらしい。

ということで、左の下腹部へ内臓アプローチ及び左足が安定するように処置を施して今回に至ります。

 

今回は右の首裏が重いという訴え。コリと言うよりはむくみに近い状態でした。

左の腰はと言うと、施術後ずっとお腹が重だるかったらしい(2週間経った今でも少しある)のですが、だるさが軽減してくると今まで使えなかった部分が使えるようになってきたとのこと。例えば側屈した時に使えていなかった部分も曲げられるようになったり、呼吸した時に吸えてない部分があったことがわかったとか。

 色々見ていったところ、右の小胸筋という鎖骨の下にある筋肉が非常に硬くなっており、これが原因となり今回の症状を引き起こしたようです。

これはスパイラルラインの影響というよりは、スパイラルラインが元に戻る中で身体が根本から安定しようとするために生じたものと考えます。

*根本からの安定というのは、上半身で生じる癖や捻れが下半身に負荷のない範囲で伝わっていくことです。

 

次の来院時に身体のバランスはどうなっているのか。

楽しみです。

 

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