「身体が弱い」の考察。横隔膜と肝臓、胃、食道がどう繋がっているんだろう。
施術家にとって施術を考えるのは、マイブームという名のライフワークですが、前回に続いてお腹について考えます。
横隔膜の動きを撮影した動画があります。
これを見ると、吐く動き、つまり、横隔膜が縮まる(=上に上がる)動きは活動的に見えます。その一方、吸う動き、つまり、横隔膜が緩み下に拡がる動きはほとんど見られません。(付いている胸郭の底部より下にはほとんど下がりません。)
普段意識して呼吸をしてみると、少なくとも私にとっては横隔膜が胸郭より下に下がって大きく吸えてるなぁと勝手に思っていましたが、実際身体に起こっている動きは私たちが勝手に想像している動きとは全然違うことがよくわかります。
身体が弱っている高齢者や、そうでなくても体調が優れなかったり、元々身体が弱い人で胸郭と臓器とが離れているなと思う人がいます。胸郭の底部つまり、横隔膜がつくところがくっきりと浮き出ている方です。
どうしてこの方は身体が弱いのかなと考えていたのですが、この呼吸の動画を見て思いついたのが、吸う時に胸郭・横隔膜が密接に接続する胃・肝臓・食道をうまく押せないからだと思うのです。
オステオパシーという治療法にヴィセラルマニュピレーションというテクニックがあり、これは内臓が持つ独自の動きを回復させようとするものがあります。
例えば肝臓と胃の間には肝胃間膜というものがあり、この膜が何らかの理由で硬くなってしまうと、肝臓と胃はそれに邪魔されて独自の動きができません。この膜をセラピストの手で緩めて、独自の動きを回復させるわけです。
セラピストの圧でもって膜の圧・抵抗を感知し、その膜の硬さをとるわけですが、よく考えると呼吸という動作が胸郭と腹部臓器の隔たりとなっている膜を仕切りとして上と下が押し競饅頭のように押し合いっこしているわけです。
ところが、上記の方のように肋骨が浮き出ているとような方だと、横隔膜が胃や肝臓を押そうと思っても、うまく押せません。
つまり、硬くなってしまった肝胃間膜を横隔膜で押して緩めることが出来ないわけで、自分で自分の身体に対してヴィセラルマニュピレーションができないということになります。
それは自分で自分を治療する力が弱い→免疫力が弱いということになり、一般的に言われる「身体が弱い」人になります。
一方その逆もあり、特に今のような忘年会シーズンに多いのですが、食べ過ぎ飲み過ぎで、胃や肝臓が横隔膜を押し上げてしまい、胸郭にストレスがかかって肩がこる人。
食べ過ぎ飲み過ぎの方の肩こりというのは、独特の硬さがあり、初めにうつぶせで肩を触った時になんとなくわかります。
これはまさしく、押し競饅頭で腹部臓器の圧が勝り、上に圧を押し上げた結果といっていいでしょう。重力にも勝るわけですから、相当な圧であることは間違いありません。
お互い気をつけましょう。
呼吸の動画を見て抱いた違和感を実はこの1ヶ月ぼんやり考えていたのですが、今回ブログにするにあたってかなりクリアになりました。
文章にするというのはやっぱりいいもんですね。