ロンドンの、船上の鍼灸師の日記

2012年から客船で鍼師として働いていましたが、2017年からロンドンで治療家として働いています。治療のこと、クルーズのこと。色々綴っていこうと思います。ウェブサイトはこちら。https://www.junjapaneseacupunctureandshiatsuclinic.com/

子供がいると…

しばらくブログを書いていませんでしたというか、書けない日々が続いています。

 

前回書いたのが12月18日で3ヶ月ぐらい経つわけですが、何があったのかというと、イギリスのロックダウンです。

ロックダウン中ってやることがないのではと思われるかもしれません。

ところが、今月で19ヶ月を迎える娘といると、正直、それどころではありません…

 

文章(ツイッターなど短い文章のものであればかけますが、ブログのような長い文章になると時間が取れない)をアップする時間があるなら娘をみないといけないということで、仕事以外は妻と分担しながら子守の3ヶ月でした。

「自分が何かをしたい」ということが可能であった子供が出来るまでの時間の使い方から、「子供のために時間を割く」という受身の時間の流れ方には未だに夫婦共なれず、子守を押し付け合いをしてしまい口論になることはしばしばです…

 

今またどちらが子供を外に連れ出すかでやや口論に。

 

子供を育てるってのは大変だ。いつまでたっても飽きないブランコに今から乗せてきます…

 

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炎症に対して徒手療法は何が出来て何ができないんだろう

長年頻発している膀胱炎が抗生剤を使わずによくなった症例がありました。

炎症って手技で止められるのか。そんな疑問が湧いて書き始めました。


40代女性会社員

主訴:寒い時期になると酒さが出る。また、左腕がだるくなる

*酒さ:顔面紅潮,毛細血管拡張,紅斑,丘疹,および膿疱と重症例でみられる鼻瘤を特徴とする慢性炎症性疾患

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/14-皮膚疾患/ざ瘡および関連疾患/酒さ


所見

左の上腹部がとても張っており、消化器系のトラブル(特に胃)が左腕の血流低下を引き起こし、だるさに繋がっているのではないかと推測。また、下腹部を触ったところ独特のしこり、強張りがあり(感覚的なものなので言葉にしずらいです)膀胱炎を患われたことがあるかを確認したところ、若い時から頻繁にあり今も膀胱の調子が悪いという回答がある。

抗生剤を飲むことからそれが胃の環境を悪化させ、胃の機能が落ちることで左上腹部の張りに繋がり、左腕のだるさに繋がったのではないだろうか。

上記の状況を考慮し、上腹部の張りを改善させていくことを治療の軸とした。


施術内容

マニュピレーション: 胃及び膀胱のマッサージ

使用穴:合谷、四瀆、上巨虚、陰谷、曲泉など


治療前は左腕にハリツヤがなかったが、治療後はそれが改善していた。また胃と横隔膜との間に隙間がなく張り付いていたのが、柔軟性が出ていたので終了。


2回目(1週間後)

腕のだるさと酒さは改善しており喜んでおられたが、それ以上に膀胱炎が抗生剤を使わずに済みそうだというぐらい下腹部の調子がいいそうで、喜んでいただく。

詳しく話を伺ってみると、尿に血が混じることも頻繁にあるそうでそれが改善傾向にあるとのこと。(さらっと言っておられたことからも、膀胱炎が日常茶飯事であることがわかる)


施術内容

マニュピレーション:下腹部は柔軟性が出ていたのでより深い層を狙っていった。また、直接は関係しないが間接的効果を考えて生殖器へ栄養する陰部大腿神経へもアプローチ。

使用穴:基本同じ。


3ー4回目:基本同上

以上。

 


考察

元々の主訴である酒さと腕のダルさもさることながら、昔からのものなので改善すると(恐らく)諦めていた膀胱炎とが両方よくなり、満足されておられるようで良かった。

この両者の共通点は「炎症」である。

つまり、炎症が身体に起きている反応という意味では酒さも膀胱炎も同じで、根っこにある炎症の改善を目指せば両方よくなるのは当たり前と言えば当たり前だなと思った。

 


一方で炎症というのがこんなに簡単によくなるのかという疑問も湧いた。

膀胱炎を調べたところ、急性膀胱炎は主に大腸菌からなり、抗生剤を用いて治す。でも膀胱炎の全てが菌によるものから来るわけではなく、例えば機能的な原因による膀胱炎(もしくは膀胱炎のような症状と感じられるもの)もあり、それは徒手療法で改善させられるんだなと思った。

 


膀胱炎の機能的症状ってなんだろうと思い、調べてみた。

頻尿:1時間~2時間ごとの排尿。多い患者は1日30回以上トイレに行く。
残尿感:排尿直後に尿を出したりない感じに囚われる。
尿意頻拍:尿は出ないと理解しているが、常に尿意が襲う。
排尿痛:排尿の終末時・直後に尿道から奥にかけて痛みが走る。
下腹部痛:恥骨部を中心として重い痛みや激痛が走る。
外陰部痛:陰部から肛門にかけて重い痛みやキリでえぐるような痛みが走る。
腰痛・背部痛:腰から背部にかけて重い痛みがある。
下肢の不快感:大腿部(太もも)の内側や足の裏に痛みやしびれ感がある。
尿失禁  など

 

参照

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/急性膀胱炎

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/非細菌性慢性膀胱炎

(慢性膀胱炎のみの記載は見つからず)

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/神経因性膀胱

 

機能的な膀胱炎が起きる原因は、ウィキペディアに膀胱を支配する脊髄中枢(胸椎10番~仙骨4番)の過敏さだとありました。過敏になってしまう原因の具体例としては


1)細菌性膀胱炎に頻繁になることで膀胱を支配する神経が過敏に反応してしまうようになる。

2)膀胱炎の炎症による癒着、虫垂炎など手術による癒着、出産などによる癒着で膀胱へ繋がっている神経が圧迫などを起こすことで活動が過剰低下/興奮

3)自律神経の乱れが膀胱へ繋がる運動/知覚神経にも影響を及ぼし過剰低下/興奮に繋がる


などを思いつきます。(読まれた方で他にも原因を思いつかれる方は教えていただければ嬉しいです)

原因の1ー3によって、症状の1ー9が起きることになります。

この患者さんのポイントは「炎症」だと書きました。ウィキペディアの情報に列挙された症状だけを信じれば、炎症は細菌が起こしたものであり、神経の機能不全によって生じることはない。もちろんそうだと思いますし、血尿が症状に記載されていないのもそのせいでしょう。(炎症の結果として血尿が起きるため)

ただ、神経の機能不全によって炎症が起きやすくなるとは言えそうです(例:排尿をコントロールする運動神経が弱くなることで実際に尿道に尿が残り、菌に感染しやすくなる)。

そしてその炎症が血尿を起こすのであれば、膀胱に繋がる機能不全を治すことで血尿を改善させることもできることになります。

若い頃から膀胱炎を繰り返す人は、細菌性によるものと機能不全によるものとが混在しているというのが本当のところなんだろうなと個人的には思います。

この方の場合、酒さも炎症が原因で起きる症状ですが、それが改善したことから全身の炎症を引き起こしていた要因の中で神経の機能不全の側面が強い症例だったんだなと考えます。


癒着を外からの手技で本当に引き剥がすことができるのか。それは正直わかりません。でも、癒着によって巻き込まれた腹膜を剥がして剥がされた周囲の組織に栄養を行き渡らせられることはできるんじゃないかなとは、以前鶏を絞めて解剖した時に生に近い筋膜を見た経験から言えます。

*参考ブログ

https://acupuncturistontheship.hatenablog.com/entry/2018/07/27/135256

https://acupuncturistontheship.hatenablog.com/entry/2018/08/06/134201

 

 

大腸菌を即座に退散!させることは閻魔大王でもないし私にはできませんが笑、機能的な損傷なら改善させることで様々な症状に対応できるんじゃないかなと改めて考えました。

まら、抗生剤と徒手療法とを組み合わせることで繰り返してしまう膀胱炎ももしかしたら止められることができるのかもしれないと思います。

 


薬や手術を用いずに何ができて何が出来ないのか。

冷静に考えて治療できる人間になりたいです。

 

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小便小僧は膀胱炎になるのかな@ベルギー

 

#膀胱炎 #炎症 #鍼灸 #酒さ

バレエダンサーの足首の痛みはどこから?喉から?鼻から?いや、腰と胃からだ。

以前書いたむくみで悩んでいた方とは別の患者さんですが、ロックダウン中で少し余裕があるうちに症例を書いておきます。

 

10代女性  学生主訴: 左足首の痛み

 

症状:

バレエスクールに通う女性で1ヶ月ほど前に左足首を捻挫。足の指を内に入れる動作と外に向ける動作で痛みが出る。

痛みが出る動作をしてもらったところ、腰で本来支えなければならない体重が身体をうまく使えていないために足首に負荷がかかりすぎていることがわかる。腰をうまく使えていない要因は消化器系のトラブル(慢性胃炎)からも来ていることがわかった。

 

治療内容:
腰をうまく使えるようにするために太ももを、また胃炎に対しても手と下肢に鍼と手技でアプローチをしたところ、痛みが消失。

使用穴:  合谷、殷門、陰陵泉 など


明日からもBalletができると、満足して帰られました。

このように思わぬところに痛みの原因が潜んでいることがあり、それを除くと痛みがすぐに消失することもあります。

 

感想:

腰がうまく使えなくなると色々なところに影響が及んできます。それは膝だったり足首だったり。

でもその一方で、腰と胃の関係も気になります。

足首がよくなってからきていませんが、胃の調子が悪くなると腰に影響が及んで足首への負荷がかかりすぎる事になりはしないか。

 

そのあたりは今後の課題でもあります。

 

#バレエ # 鍼灸 #足首の痛み

 

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リアリズムはリアリティから生じる。じゃあ治療というリアリティは?

蛤御門のヘンという角田龍平さんがパーソナリティをつとめるラジオで塩田武士さん(罪の声という小説が代表作)がゲストで出演されていて、平成天皇肖像画を描かれた野田弘志さんの言葉を引用していました。(ラジオはポッドキャストで聞けます)

 

それが「リアリズムはリアリティから生まれる」という言葉です。


https://art-culture.world/articles/portrait-painting-of-their-majesties-the-emperor-and-empress-of-japan/


https://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/hen/2020/10/hen_106180.htm


人の身体の治療法はごまんと存在し、また、そこに解答は今のところありません。(=解答がもし仮にあれば、それが流通している)

施術する人によって身体の見立ては違い、施術する人のフィルターを通して患者さんの症状と向き合うわけです。


私は施術する時に「自分の中のリアリズム(=自分の考え方)からリアリティ(=患者さんの症状への解決策)を模索していないか?」

といつも自分に問いかけます。

なぜなら、「リアリティはリアリズムの中にはない」し(事実は小説より奇なりと同義とも言えるか)、「リアリティはより細かいリアリティの中にある」と考えているからです。いくつもの腰痛のパターンから動きや癖などを通して、どのパターンに当てはまるかを絞っていきツボを選んだり施術方法を選んだりする。


その意味で、一つ一つのツボにどういう身体の変化があるかを地道に研究されてきた整動鍼があっているなと改めて思いました。

その一方で知り合いの先生から教えてもらったセミナーや私の先生の教えを通して「患部」に対しても最近考えます。

 

遠隔で患部が緩んだとしてもきっちり取りきれてないケースってあるんじゃないのかなということです。

遠隔で緩めて、患部もきっちり緩めることって案外大切なんじゃないのかなと。


「どれが絶対に正しい」ではなく、常に遊びを持ちながらいい意味でのいいとこ取りをしていきたいなと改めて思います。

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最近読んだ「医道の日本」から。頭には2つの凹みがある。という観察は改めて触れるとそうだなと納得。

東洋医学ってリアリティの中にリアリティを求めた医学なんだと思うんですが、リアリティが先行し過ぎてるところもあるんじゃないかなと考えるところもあります。

特に脈と舌の診断はどこまでがリアリティでどこまでがリアリズムなのか。

元々リアリティから生じていても、リアリズムに気化してる側面もあるんじゃないのかな。

なんて思ったりします。

むくみとベジタリアンに有り勝ちなタンパク質不足

‪むくみで悩む、すごく体を動かす患者さん。‬


ベジタリアンにしたらむくみやすくなったと言うので、タンパク質不足が原因じゃないかと伝えたところすごく納得されました。‬やっぱりベジタリアンはタンパク質が足りなくなりがちです。

 

詳細は添付してページに書かれてありますが、アルブミンというタンパク質が不足するとむくみが起きる原因となるそうです。

アルブミンは細胞の外と中の浸透圧(=簡単に言うと水分調整)を行っているためです。

 

ベジタリアンは肉を食べる方に比べてタンパク質が不足しがちです。

豆腐6丁と肉200グラムが同じタンパク質含有量だそうです。

https://cp.glico.jp/powerpro/protein/entry25/

 

 

‪鍼で改善したけど、根本の栄養不足を指摘しないと鍼はその場しのぎでしかないなと改めて納得しました。

栄養学に目を向けて施術家でいたいです。


http://www.mitsuoka-clinic.or.jp/jp/anti_aging/AAtip/AAtip61_70/AAtip64-deficient_in_protein.html

 

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#鍼灸 #むくみ #根本治療 #ベジタリアン

ゴルフのフォーム改造によるピキッとくる腰痛と臀部痛

コロナウイルスで室内で人に合わない分、ゴルフの回数が増えたという方は結構おられるのではないでしょうか。

張り切ってフォーム改造!と思ったら、痛みが来るなんてこともあるかもです。

 

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50代男性  会社員


症状

ゴルフのインパクト時に左の肩をもっと入れるようにフォームを改造したところ、1週間前から左の骨盤と背骨の付け根あたりに痛みが出るようになる。

靴下を履くなど腰を深く曲げる時とソファーから立ち上がる時に痛みが走る。

 


分析と治療内容

痛い場所にはそこまで硬結がなかった。臀部とふくらはぎが張っていたので、肩を入れるようにフォームを改造したのはいいが、その力をうまく左腰→下肢へ伝えきれなかったのが今回の痛みの原因と考えた。

ふくらはぎと臀部の調整をして腰にかかるテンションを取り除くようにした。

靴下も履けるようになり腰の痛みはかなり改善したので、終了。


使用穴

承山、臀中川、大腰など

 


2回目(2日後)

症状

腰の痛みはなくなったが臀部(場所があやふや)と鼠蹊部に痛みが残る。前屈をする時にピキッと痛みが走る。

 


分析と治療内容

身体のバランスが動いたことにより、今度は上半身の緊張が残っていたと推察。

実際肩甲骨周りに硬結を発見した。

イマイチ痛みが取りきれなかったため、患部みていくと小転子にとても粘っこい反応があった。そこを直接丁寧にほぐしたところ「血が通ってきたのか、すごく暖かくなってきた」という反応を得る。

痛み確認してもらったところ、痛みがほぼなくなったので終了。その後も調子がいいそうです。

 


使用穴

腸鳴、大腰、T3(4)など

 


治療を通しての考察

「フォームを改造する」というのはスポーツをする人にとってとても大切なことだが、フォーム改造の前提として「自分の身体にどういう癖があるか」を認識しておく必要があります。

そうでないと、「身体の癖×フォーム改造によるアンバランスの負荷→痛みを引き起こす」となるからです。

身体に癖がなければ、フォームを改造しなくても、いい飛距離が出るのも事実ですが。

それを思い知らせてくれた症例でした。

 

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先日水漏れがあり修理してたんですが、これもフォームというか水の流れが今までと違うために漏れてしまうわけですね。

この原因を考える作業は治療みたいで結構楽しいです。

 

鍼治療で妊娠誘発剤を使わないようにする。

 私には2019年に生まれた娘がいます。子供の体重はイギリスにおける平均体重に比べて低いと言われていました。

 37週目の検診でも「骨の長さから推察される体重がグラフでは基準以下である」という診断が下り、様々なリスクを考慮して40週で陣痛誘発剤を打って子供を出そうと医者に言われました。

 

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マリア像@ポルトフィーノ、イタリア

 

 妻は誘発剤に反対で、39週にプライベートクリニックでエコーを取って胎児の状態をみようかという話になりました。そのため37週から自然に子供が生まれるように、更に頻繁に妻を治療するようになりました。37ー42週がいわゆる自然分娩とされる期間です。40週が目安ですが、もちろん37週目で生まれても何も問題がありません。

 
 元々陣痛が来たら鍼で産みやすくするようにサポートしようと考えていて、使うツボもアイデアがありました。どうすれば妊婦が産みやすいかと考えた時に、「子宮周囲と大腿骨の内側に自分の力を伝えやすくする」のが答えだと思いました。

 
 妊婦さんはお腹が大きくなると、ペンギンのような歩き方をするようになります。つまり、足を外側に大きく捻って歩きます。また両腕もお腹につられて、脚と同じように外側に捻った状態で歩きがちです。体幹の筋肉が弱いと、そういう歩き方に慣れてしまった妊婦さんは出産時に下腹部の中心、つまり子供を産むための力を込めることは中々難しいです。

 

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力の渦@リオのカーニバル、ブラジル


 子宮に力を伝えにくい徴候として、妊婦になると足がつりやすくなることが挙げられます。

妻も妊娠してから足がつりやすくなりましたが、構造的な観点から考えた理由は以下のものです。(他にも思いつく方がおられたらメッセージいただければ幸いです)   
お腹が大きくなるにつれて腰を軸としてがうまく使えないため、歩く時にふくらはぎでバランスを取ろうとし筋肉が硬くなる。(血流不全が起き酸素不足になり、足がつる)』


 動きの考察から動かせていないところを探して症状を改善させる”整動鍼”を治療の軸とする私としては、これは得意とするところです。

 早速、ふくらはぎの調整をして股関節から足の先へ力がスムーズに伝わるよう調整したところ、足がつらなくなりました。また、「歩く時に(ポジティブな意味で)陣痛のような痛みが来るようになった」と彼女が言ってたのは嬉しいコメントで今でも覚えています。

 もちろん、下肢に力がスムーズに伝わるようにするだけでなく、外側に捻れた上肢も調整して、上半身の重みが骨盤に伝わるようにもしました。(→そうすることで下腹部に力を入れやすくなります)

 


 最終的に、私の妻は結局誘発剤を使うことなく40週目に8時間半かけて出産しました。初産としては悪くはない時間です。ずっとそばにいましたが、24時間以上かかった妊婦さんもいる中で割に苦しくなく産まれたように思います。

もちろん彼女は本当に痛かったと言っていましたが、自分の髪の毛が抜けるほど強く握ったり、普通では考えられないような声で叫んだりもありませんでした。

大声を出すということは、声を出して空気を押すことで子宮に力を伝えることです。それがなかったということは、声を出さなくても力を伝えることができたからだと感じています。

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セイウチの様な大声?@Maldnado, Uruguay

 


彼女自身もお産を振り返って、「治療とヨガのお蔭で短時間に出産できたと思う」と言ってくれました。

 
「大きくなったお腹のせいで下腹部・太ももの内側に伝えられなくなった力を力みやすいように、いかにバランスを変えるか」という視点は正しいと思うし、妻のお産で実感を得ました。

 

出産間近で誘発剤や帝王切開をしたくないという方がおられれば、鍼を受けてみられてはいかがでしょうか?

薬に頼らなくてもできることってきっとあります。

 

 

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クロコダイルの赤ちゃん@マナウス、ブラジル

 

#鍼 #整動鍼 #出産 #足がつる #妊娠誘発剤