むくみとベジタリアンに有り勝ちなタンパク質不足
むくみで悩む、すごく体を動かす患者さん。
ベジタリアンにしたらむくみやすくなったと言うので、タンパク質不足が原因じゃないかと伝えたところすごく納得されました。やっぱりベジタリアンはタンパク質が足りなくなりがちです。
詳細は添付してページに書かれてありますが、アルブミンというタンパク質が不足するとむくみが起きる原因となるそうです。
アルブミンは細胞の外と中の浸透圧(=簡単に言うと水分調整)を行っているためです。
ベジタリアンは肉を食べる方に比べてタンパク質が不足しがちです。
豆腐6丁と肉200グラムが同じタンパク質含有量だそうです。
https://cp.glico.jp/powerpro/protein/entry25/
鍼で改善したけど、根本の栄養不足を指摘しないと鍼はその場しのぎでしかないなと改めて納得しました。
栄養学に目を向けて施術家でいたいです。
http://www.mitsuoka-clinic.or.jp/jp/anti_aging/AAtip/AAtip61_70/AAtip64-deficient_in_protein.html
ゴルフのフォーム改造によるピキッとくる腰痛と臀部痛
コロナウイルスで室内で人に合わない分、ゴルフの回数が増えたという方は結構おられるのではないでしょうか。
張り切ってフォーム改造!と思ったら、痛みが来るなんてこともあるかもです。
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50代男性 会社員
症状
ゴルフのインパクト時に左の肩をもっと入れるようにフォームを改造したところ、1週間前から左の骨盤と背骨の付け根あたりに痛みが出るようになる。
靴下を履くなど腰を深く曲げる時とソファーから立ち上がる時に痛みが走る。
分析と治療内容
痛い場所にはそこまで硬結がなかった。臀部とふくらはぎが張っていたので、肩を入れるようにフォームを改造したのはいいが、その力をうまく左腰→下肢へ伝えきれなかったのが今回の痛みの原因と考えた。
ふくらはぎと臀部の調整をして腰にかかるテンションを取り除くようにした。
靴下も履けるようになり腰の痛みはかなり改善したので、終了。
使用穴
承山、臀中川、大腰など
2回目(2日後)
症状
腰の痛みはなくなったが臀部(場所があやふや)と鼠蹊部に痛みが残る。前屈をする時にピキッと痛みが走る。
分析と治療内容
身体のバランスが動いたことにより、今度は上半身の緊張が残っていたと推察。
実際肩甲骨周りに硬結を発見した。
イマイチ痛みが取りきれなかったため、患部みていくと小転子にとても粘っこい反応があった。そこを直接丁寧にほぐしたところ「血が通ってきたのか、すごく暖かくなってきた」という反応を得る。
痛み確認してもらったところ、痛みがほぼなくなったので終了。その後も調子がいいそうです。
使用穴
腸鳴、大腰、T3(4)など
治療を通しての考察
「フォームを改造する」というのはスポーツをする人にとってとても大切なことだが、フォーム改造の前提として「自分の身体にどういう癖があるか」を認識しておく必要があります。
そうでないと、「身体の癖×フォーム改造によるアンバランスの負荷→痛みを引き起こす」となるからです。
身体に癖がなければ、フォームを改造しなくても、いい飛距離が出るのも事実ですが。
それを思い知らせてくれた症例でした。
先日水漏れがあり修理してたんですが、これもフォームというか水の流れが今までと違うために漏れてしまうわけですね。
この原因を考える作業は治療みたいで結構楽しいです。
鍼治療で妊娠誘発剤を使わないようにする。
私には2019年に生まれた娘がいます。子供の体重はイギリスにおける平均体重に比べて低いと言われていました。
37週目の検診でも「骨の長さから推察される体重がグラフでは基準以下である」という診断が下り、様々なリスクを考慮して40週で陣痛誘発剤を打って子供を出そうと医者に言われました。
妻は誘発剤に反対で、39週にプライベートクリニックでエコーを取って胎児の状態をみようかという話になりました。そのため37週から自然に子供が生まれるように、更に頻繁に妻を治療するようになりました。37ー42週がいわゆる自然分娩とされる期間です。40週が目安ですが、もちろん37週目で生まれても何も問題がありません。
元々陣痛が来たら鍼で産みやすくするようにサポートしようと考えていて、使うツボもアイデアがありました。どうすれば妊婦が産みやすいかと考えた時に、「子宮周囲と大腿骨の内側に自分の力を伝えやすくする」のが答えだと思いました。
妊婦さんはお腹が大きくなると、ペンギンのような歩き方をするようになります。つまり、足を外側に大きく捻って歩きます。また両腕もお腹につられて、脚と同じように外側に捻った状態で歩きがちです。体幹の筋肉が弱いと、そういう歩き方に慣れてしまった妊婦さんは出産時に下腹部の中心、つまり子供を産むための力を込めることは中々難しいです。
子宮に力を伝えにくい徴候として、妊婦になると足がつりやすくなることが挙げられます。
妻も妊娠してから足がつりやすくなりましたが、構造的な観点から考えた理由は以下のものです。(他にも思いつく方がおられたらメッセージいただければ幸いです)
『お腹が大きくなるにつれて腰を軸としてがうまく使えないため、歩く時にふくらはぎでバランスを取ろうとし筋肉が硬くなる。(血流不全が起き酸素不足になり、足がつる)』
動きの考察から動かせていないところを探して症状を改善させる”整動鍼”を治療の軸とする私としては、これは得意とするところです。
早速、ふくらはぎの調整をして股関節から足の先へ力がスムーズに伝わるよう調整したところ、足がつらなくなりました。また、「歩く時に(ポジティブな意味で)陣痛のような痛みが来るようになった」と彼女が言ってたのは嬉しいコメントで今でも覚えています。
もちろん、下肢に力がスムーズに伝わるようにするだけでなく、外側に捻れた上肢も調整して、上半身の重みが骨盤に伝わるようにもしました。(→そうすることで下腹部に力を入れやすくなります)
最終的に、私の妻は結局誘発剤を使うことなく40週目に8時間半かけて出産しました。初産としては悪くはない時間です。ずっとそばにいましたが、24時間以上かかった妊婦さんもいる中で割に苦しくなく産まれたように思います。
もちろん彼女は本当に痛かったと言っていましたが、自分の髪の毛が抜けるほど強く握ったり、普通では考えられないような声で叫んだりもありませんでした。
大声を出すということは、声を出して空気を押すことで子宮に力を伝えることです。それがなかったということは、声を出さなくても力を伝えることができたからだと感じています。
彼女自身もお産を振り返って、「治療とヨガのお蔭で短時間に出産できたと思う」と言ってくれました。
「大きくなったお腹のせいで下腹部・太ももの内側に伝えられなくなった力を力みやすいように、いかにバランスを変えるか」という視点は正しいと思うし、妻のお産で実感を得ました。
出産間近で誘発剤や帝王切開をしたくないという方がおられれば、鍼を受けてみられてはいかがでしょうか?
薬に頼らなくてもできることってきっとあります。
#鍼 #整動鍼 #出産 #足がつる #妊娠誘発剤
子供の初めてのあくび→アリクイはあくびで口を開けない
子供が初めてあくびをしました。子供が後ろハイハイをした時も、「おー!」って不意に子供の成長を感じることがあります。
掴まり立ちをしだしたこの時期だからこそ、頚椎の前弯がしっかりすることで頭蓋が背骨全体で支えられるようになったのかな。そういう条件が整った時に初めて、「上顎を自由に開ける=あくびができる」のかと想像してみる。
成長した時にどうしてそれができるようになるのかを考察するのはとても面白いです。
人があくびをすると自分もしたくなるというのは何かの心理実験で聞いたことがありますが、もっと生理的な意味ってなんだろう。
この記事を見てみると、あくびの定義なんて実は決まっておらず、口を大きく開けて閉める行為のことを指すものでしかないことがわかります。求愛や威嚇のために人間はあくびしないし…
でもほぼ全ての脊椎動物があくびをするというのが事実なら、あくびに背骨が必要だというのは言えるんだろう。
あくびって面白いなと思って他にも検索してみたらアリクイのあくびが出てきました。これはもはや、あくびじゃなくて伸びです。
www.higashiyama.city.nagoya.jp
解説の中で出てくる、「アリクイは体の構造上開けらない」という一文。気になるな…
X線とか見たい!ということで画像検索をしたらアリクイの骨格が出てきました。
このアリクイの写真は以下の写真家さんのものらしいですが、骨の構造が綺麗にみえてとても勉強になりました。(買ってしまった…)
写真を見る限り、第7頚椎で首を動かして、第2頚椎で顔を微調整するんだろうなと思う。構造上開けられないってどういうことなんだろうと思いさらに調べてみると面白い記事が出てきました。
抜粋しますと、
「アリクイの顎には、歯を使って餌を噛み砕く機能は無いのです。つまり口をひらいて噛む構造になっていない、これが口を開かない理由」
「アリクイの長い下あごは左右の対に分かれていて、長い下あごを左右別々に動かすことが可能」
「舌は1メートル近くまで伸びるとても長いものですが、狙いを定めるために、左右の顎をできるだけすぼめて舌を発射しているのです。逆に捕まえたアリをのどへ運ぶためには、舌を口の中に戻さなければなりません。戻すときは口が大きくないとうまく舌を収納できませんから、顎をハの字に開いて、できるだけ口の体積を広げるのです。」
「動物にとって、顎は物を噛むために開閉する装置だったはずですが、このアリクイにおいてだけは、アリを捕まえるために、舌と同期・シンクロして動くという、まったく別の機能をもっている」
横の骨格模型ではみえないが、下からアリクイをみると下顎骨が2つに分かれてるんだろうなということがわかります。第2頚椎を軸に使って、左右の下顎の微調整をしているんだろな。(もし第2頚椎に顎を動かすというのが普遍性であるなら、人間が左右に顎を動かすという行為もC2で調整できるのかも)
脊椎動物における歯と顎の関係が、アリクイにおいては舌と顎の関係になっている。「食べる(=ものを細かくする)」が普通上下の空間で行われているのに、アリクイの場合は左右の空間で行われている。
何れにせよ重力を用いて自分の力を利用するのは変わらないと思いますが…
変わった動物だなぁと思い、生態も気になって調べ見たら、これが驚きの連続。
「最大の特徴は、胃酸がつくられないことでしょう。ではどうやって消化するのかといえば、アリの持っているギ酸を使います。オオアリクイにとって、アリはエサであり胃液でもあるのです。しかも哺乳類の胃でありながら、鳥類がもつ砂のうと同じ働きをします。硬い胃壁が激しく収縮し、食べた砂や土でアリをすりつぶすのです。オオアリクイの胃は、エサを細かく砕く、歯の役割も兼ねています。」
「オオアリクイは超早食い。1回の食事を1分で終えます。アリの巣(またはアリ塚)に顔を突っ込み、60㎝の長い舌を出し入れしてアリを飲み込みます。舌の表面はとても粘着力が強く、舌に触れたアリはもはや逃げられません。1分間で150回も舌を出し入れし、1000匹以上のアリを腹に収めるのです。」
アリを食べることで、アリの中にある酸を使ってアリを消化、吸収する。すごい複雑ですが、アリを食べる(甲虫の幼虫や果物を食べることもあるそうです)ことに特化することでこういう生態を生み出したのか生み出さざるを得なかったんだろうな。
でも冷静に考えれば、私たちがヨーグルトを食べることでビフィズス菌や乳酸菌を腸内に住まわせるのと根本の原理は変わらないですよね。
アリクイって面白いな。あまりにもかけ離れた生態すぎる。
背骨があったり、あくびをするというのは共通だけど。
#アリクイ #あくび #奇妙な生態 #子供のあくび
身体の痕跡とテニス肘。私の身体観について
前回のテニス肘の症例からもっと全体的に補足というか考えていることを書こうと思います。
https://acupuncturistontheship.hatenablog.com/entry/2020/07/11/192454
手足には体がうまく使えているかどうかがわかる様々な痕跡があります。
パソコンを使っていると指や肘、肩が疲れるいうのは、つまり、体幹の力が末端にまでうまく伝わっていないということです。
身体は体幹、つまり中心では身体を動かすためのエネルギーを作り出し、末端になればなるほどその力を微調整して繊細に正確に伝えるという構造があります。
もしデスクワークで肩が凝る方がおられたら、本来背中でタイプなどをしなければならないのに、代わりに肩がタイプを打つための軸となって仕事をしているせいで、過負荷がかかってしまっています。
テニスやゴルフのフォームの崩れでおきるテニス肘、ゴルフ肘も基本的には上記の考え方と同じような理論で生じます。
背中で力を生み出し、手は添えるだけでボールが当たる方向を調整するのが球技のフォームの基本です。
それが背中や腰、膝、足首などのバランスが崩れていることにより、肘に過負荷がかかるため痛みとして生じてしまうわけです。
身体の動かし方、今までの怪我、手術、内科疾患、婦人科疾患など過去の痕跡を多角的に考察することで、その症状の原因を考えていけるんじゃないかなというのが僕の基本的な身体観です。
首を傾ける癖とテニス肘
症例報告
30代 男性 会社員
主訴: テニス肘(右肘外側)
先週末にぬかるみの中でテニスをしていたところ、右肘外側に痛みが出るようになった。特にバックハンドでボールを打つ時に出る。
肘の外側自体はそこまで硬くなかったため、このテニス肘は患部が凝りすぎて生じたものではなく、違う箇所が硬くなりすぎているために生じた「結果」だと推測。
姿勢とバランスを観察したところ首を右に傾ける癖があり、その癖のために今回の症状が出ていると考えた。そこで、その首の癖が戻るように、ふくらはぎと背中、肩甲骨をメインに施術。
患部には全く鍼をしなかったが、強く自分で患部を押さない限り痛みが出なくなった。
身体の構造的に、首を傾ける癖のせいでバックハンドの時に肩を捻って打つことが出来ないため今回の症状が出ていることがわかったので、それも合わせてアドバイスをしました。
週末からテニスがまたできると喜んで帰られました。
原因が患部にはない場合、どうすればその痛みが予防できるかも患者さんの構造や癖を考えていくことでアドバイスができます。
毎回というわけには行きませんが、原因を突き止めることができれば1回でも痛みを取り除くことができます。
私の考えは、痛みは結果であり原因ではないというものです。
色々なところへ行っても痛みが取れなかった方がおられましたら、ぜひ一度ご相談ください。
朝に一番酷い親指と手首のピキッとした痛み。甘いものもあるか…
50代女性 職業:ツアーガイド
症状:特に起床時の親指の痛み。伸ばすと付け根に痛みがピキッと走る
1ヶ月ほど前から親指の付け根に痛みがくるようになり、今ではペンを握って書くのでも痛みが出る。原因はよくわからない。
親指に痛みが出る人に多い人の特徴の1つとして「前腕が内旋し過ぎている」ことが挙げられます。
背中及び肩甲骨から腕を曲げて手を使えていればこういうことは起こりにくいのですが、背中を使う代わりに前腕を捻って手だけを使う癖がついていると、このような形で痛みに発展することが多いです。
この方もそうで、腕だけで作業をする癖がつくと、次に手根骨(手首を構成する骨)がずれてきます。すると余計に手と背中の連動が悪くなってきて、手に余計に負担がかかるようになります。
この方は仙骨と骨盤に鍼でアプローチして背中、肩甲骨が動きやすい素地を作った上で、腕との連動を高める為に背骨、肩甲骨にアプローチをしたところ、痛みが半分に。あとは、親指の動きと連動している上腕部のツボにアプローチをして終了。
2回目
前まではペンを持ったり箸を持つのも痛かったが、日常生活ではほぼ気にならないレベルに。まだ朝起きた時は痛い。
前回と基本は同じだが、捻りが加わっている前腕及び手根骨が元に戻りやすくすることによりフォーカスする。橈骨と尺骨の間の骨間膜や親指の筋膜を解放することで、ほぼ痛みはなくなる。
最後に無理して親指を伸ばすと痛みが出るということで、以前から参考にさせて頂いている先生のブログを元に膵臓へアプローチを試みる。(*左手で膵臓にお腹上から手を触れてもらって親指を動かそてもらったところ痛みが改善した。)
http://ab3141592.livedoor.blog/archives/2637078.html
親指近位だったので甘いもの増えてるか確認したところ、コロナ自粛でやはり増えていました笑
痛みがなくなったので治療終了。
背中から腕を使う連動という「構造」は、内臓の状態もやはり考慮すべきなんだなと改めてしない思う症例でした。
初夏@ロンドン
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#ロンドン