ロンドンの、船上の鍼灸師の日記

2012年から客船で鍼師として働いていましたが、2017年からロンドンで治療家として働いています。治療のこと、クルーズのこと。色々綴っていこうと思います。ウェブサイトはこちら。https://www.junjapaneseacupunctureandshiatsuclinic.com/

圧に対して思っていることをちらほらと。

最近、治療をしている中で「圧」についてよく考えます。

陰圧や陽圧などの話は他のサイトに譲るとして、圧はある空間が縮まったり、拡がったりする時に、その空間を構成している境界線にかかる力と言えます。

 

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職場の人と不妊治療について話していた時に、その方は「要はお腹に隙間を作れば妊娠が出来る。」と言っておられました。

私がその方に「どんだけ頑張って不妊治療をしても授からない人がいる一方で、男性から乱暴なことを一方的にされて子供を孕んでしまう人もいることを考えると、子供は愛の結晶というのは残酷だ。」という話をしていた時でした。

つまり、感情的なものは別にして、子供を授かるか否かはお腹に隙間があればできる=お腹の圧が適正であれば子供が出来るというのが、その先生の見立でした。

 

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今まで圧といえば呼吸、つまりは肺の圧の変化のことを指すものと何となく思い込んでいました。でも、その圧の変化以外にも重力・神経・ホルモンその他身体を構成する様々な要素によって、圧は作られ、空間を構成する境界線にその圧がかかる。

その境界線はどこなのかなぁと色々考えているのですが、私は関節だと思っています。

膜連鎖の観点で言えば、全てが身体とつながりネットワークを構成しているため、境界線はないのかもしれません。

あるオステオパシーのセミナーに参加した時に、最後関節をうまくはめられない施術者は大成しないと言っていた先生がいます。それは、結果として圧がかかってしまっている関節を構成する要素を様々な観点で調整したとしても、最終的に圧がかかる関節を正しい位置に戻して圧が適切にかかるようにしなければ、身体は元には戻りにくいということなのかもしれません。

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肩甲上腕関節を緩めて行く時に、人によって一番圧がかかっている(関節に制限がかかる)力の方向は違うなといつも思います。

関節が機能してその圧を吸収しているうちは、肩が上がりにくいという状態で住むのかもしれませんが、その機能が器質にまで影響を及ぼし始めたとき、肩に炎症がおき、50肩などで悩むようになるのかもしれません。

 

がに股・内股なども膝への上からの圧と膝を支える下からの圧とのずれの結果であり、その圧が膝という関節で吸収出来なくなった時に、身体が悲鳴を上げてしまうのでしょう。もちろん、痛みを感じやすい感じにくいなどは、自分の自律神経やホルモンバランスの状態も多分に影響してきます。

 

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ピサの斜塔。圧を吸収出来ているからこそ、倒れない。