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英国の、船上の鍼灸師の日記 the diary of acupuncturist on Great Britain, cruise ship

2012年から客船で鍼師として働いていましたが、2015年はイギリスで働くために有機食品の会社で働き、2017年からロンドンで再び治療家として働いています。治療のこと、クルーズのこと、食べ物のこと。色々綴っていこうと思います。

私なりの傾聴の仕方 初めて人の役に立てたかもしれない その3

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どうすれば人の役に表面的な意味ではなく立てるのか。

 

前回は、「共感するとは、自分を抑制すること」なら、共感することへの長期的な落とし穴?について考えました。

 

私は近しい間柄の人に共感するのが苦手であり、それはつまり、自分を抑制することが苦手だということになります。

実際そうですが。。。

 

抑制を違うものとして捉えられないか。新しい見方で共感を考えなおせれば、私でも共感ができそうな気がしています。

 

傾聴ってご存知ですか?

震災の時によく言われます。傾聴ボランティアなんてのもあるらしく、テレビで取り上げられていました。

 

聴くに傾く。

聴く側がこちらから意見を発さずに、ただただ相手の話していることを聞くこと。

 

「被災した」というキーワードがあればいいですが、何も自分に関わるキーワードがないという人にどう傾聴しますか?

 

私たち治療家には診断という手があります。

東洋医学には望(観る)聞問切(触れる)の4つの診断法で判断します。

 

私は特に望診と問診を重視します。船であまりコミュニケーションが取れない中で治療を行ってきたからか、その2の方法を通して、私は患者さんの気持ちの奥にあるイメージをつかむことができるようになりました。(もちろん全員ではないですし、相手が心をどこかで開きたいと思ってる場合に限りますが)

 

例えば、船でみた20代前半のアメリカ人男性。

大学生の時から起業し、ビジネスで成功を収め、船にバカンスでやってきていました。(6つ星のクルーズに来るぐらいですから、相当なもんです)

 

リラックスしてくつろいだ顔をしており、特に身体の問題もないということでした。(試しに受けてみたいという人はどんな国でもいます笑)

しかし私には、一目見てなぜか彼が退屈そうにみえたのです。それは仕事で疲れているとはまら別の質のものでした。(感覚的なもののため、言葉にしにくいです。)

私にはそういうイメージが入ってくる患者さんと入ってこない患者さんとがあり(入ってこないから治らない、仲良くならないとは別)、入ってきたらそれをそのまま伝えるようにしています。

 

すると彼は驚いた顔で、「その通りだ。」「自分の始めたビジネスがうまく行って順風満帆なのだが、刺激が足りない。売却するか考えている。」と言っていました。

 

こういう感じで、初対面でその人の少し奥を感じられることがあります。

そして、それ以降、彼は私に心を開くようになり、自分の思うことなどを素直に話してくれるようになりました。

 

治療家と患者さんという関係の時点で上下関係が存在し、患者さんが聞かれたことを話す。という図式が存在しやすいですが、中には心の中に隠しておきたいこと、また、どうしてこいつなんかに話さないといけないのかという反発など、そう単純なものでないこともあります。

 

でも、望聞問切を通して、アクティブに相手のことを知り、掴んだイメージをそのまま伝えることで、相手の心が開くという瞬間が確かに在ります。

それは1つの傾聴の形ではないかと思うのです。(毎回アクティブではなく、何個かボールをほってみて相手から何も返ってこなければ、私はそれ以上何も尋ねず話しません。なぜなら、その時はそれがその方への傾聴だと思うからです。)

 

そして、そのようにして相手が話し出すと、「ああこの人は心が緩んだな。」と感じることができます。

ちなみにそれは、私が今まで観てきたどんな美術作品よりも美しい瞬間です。

 

 

自分を抑制するのは苦手です。

でも、抑制の意味・やり方を変えれば私でも傾聴し、共感し、人のお役に立てるのかもしれない。

 

抑制とは逆の解放の気持ちを持って、相手が心を開くように心を砕く。

そして、人がその人が本来持つ声・気持ちで話し始めたら(仲の良い友達と話しているとそうなることがあります)、自分を抑制する。

ちなみに、相手がそのように話し始めたら、自分は抑制してるつもりはないのに、抑制していることはよくあります。理由はよくわからないのですが。。。

 

それなら私にもできそうです。

 

傾聴。

聴くに傾く。

それが共感となり、人のお役に立つ。

 

もっとお役に立てるよう、精進していきたいと思います。