英国の、船上の鍼灸師の日記 the diary of acupuncturist on Great Britain, cruise ship

2012年から客船で鍼師として働いていましたが、2015年はイギリスで働くために有機食品の会社で働き、2017年からロンドンで再び治療家として働いています。治療のこと、クルーズのこと、食べ物のこと。色々綴っていこうと思います。

人と深く繋がりたいか、広く繋がりたいか

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人と深く繋がりたいか広く繋がりたいか。

治療家という職業を選び、どうしてその道を選んだのかを考えた時にそう思うことがあります。

私は満25歳になる歳で鍼灸学校の門戸を叩きました。

それまで、歌手になってみたいなぁとか写真家なんてのも楽しそうだなぁとか色々思い、写真学校に少し通ったこともありました。

でもなかなかしっくりこなかった。

その一方で、鍼灸師という職業選び、経験を積む中で、今までやってきたこととは違う感覚・感動を持ちました。

写真学校では、セルフポートレートを題材として選び、自分なりにいい写真も撮れたし、出来上がった作品もいい出来だなぁと自画自賛ですが思っていました笑

いい写真が撮れたことと、治療家として人を観ることとの違いは何なのだろうか。

自分が治療家としての道を選んで自分が選んだ答えに納得するために考えていました。

そこで出た答えの1つがタイトルのもの。

人間との付き合い方で言われることの1つが「人と深く交流したいか広く交流したいか」というものではないでしょうか。浅く深くか、広く浅く。みたいな。

写真など自分の作品を発表するものの場合、例えある方の人生左右するような作品を作ったとしても、それはその作品とその方との関係であり、その方と制作者との関係ではないと思うのです。

それは例えば、あるアーティストが好きと言った時に、そのアーティストが作った曲全てが好きではないように。

また、自分の作ったものが広く知られることで、観た人とコミュニケーションが取れるという意味で、写真や作家、美術家という方々は、広く繋がりたい思考を持っていると考えました。

その一方で、治療家は広く繋がれません。患者さんを見れる数は限りがあります。私のが見学させてもらった先生は1時間に10人観ていましたが、それでもフルで1日100人。

私などは今まで観た1日の人数は13人。

やり方が下手くそというのもありますが、身体はくたくたでした笑

人を治療するには、その人以上にその人のことを知らないといけないことがあります。

なぜなら、患者さんが気付いていないことが、持っている症状を引き起こしていることがあるからです。

ですので、勿論鍼の精度など治療技術を上げていくことは必要ですが、それと同等に、なぜその方がその症状を持っているのかを考える想像力が必要です。

そうしていくには、人と広く浅く繋がっていては、患者さんの意識の奥の断片に触れられません。

その方の症状を問診で聴きながら、身体に触れることや、その人の持つ空気、質問の受け答えを通して深く深く潜っていく。

今振り返ると、なぜ写真を撮りたいと学校に行くまで思ったのかと言えば、人と繋がりたいという欲求があったからだと思います。

しかし、鍼灸の治療を社会人の時に受けるまで、深く繋がる仕事を知らなかった。

そのため、広く浅く繋がる仕事しか知らず、そういう職業を選ぼうとした。(かっこいいという邪な考えもありました。)

ところが、縁あってこういう仕事に就いた時、自分でも驚くほどこの今の仕事が好きになれたのは、自分は深く繋がりたい欲求がありまた、治療を通して深く繋がれた瞬間が少なからずあったからなのでしょう。

今までの人生で味わったことのない充足感がありました。

もし、どういう仕事がしたいのかわからないという方がおられたら、「何をしたいか。」ではなく、「何を自分は求めているか。」「どういう時に自分は充足しているか。」また、占いなどで赤の他人に聞いみてはいかがでしょうか。

じゃあ、どうして私は繋がりたいのか。

それについて次回考えてみようと思います。