英国の、船上の鍼灸師の日記 the diary of acupuncturist on Great Britain, cruise ship

2012年から客船で鍼師として働いていましたが、2015年はイギリスで働くために有機食品の会社で働き、2017年からロンドンで再び治療家として働いています。治療のこと、クルーズのこと、食べ物のこと。色々綴っていこうと思います。

船で鍼師として働いてよかったか

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タイトルのように自問することがあります。

答えは「イエス」です。

なぜなら、他の同年代の鍼灸師より度胸がついたと思うからです。

度胸。

そんなものが、鍼師に必要かと思うかもしれません。

経験と言い換えても良いのかもしれませんが、経験とだけ言うにはなんだか片手落ちのような気がしています。

鍼師が鍼師として働いていたら、経験は質の差こそあれ経験を積んだと言えます。

なので、経験という言葉には意味があるようで、その言葉自体には意味がないように思うからです。

(サッカー部で3年間サッカーをしたと言っても、全国大会レベルと地方1回戦敗退レベルの差では経験したと言っても意味が違うように)

治療に完璧な答えはありません。

もしすでに存在しているなら、みんなその答えとなる治療を受けています。

特に痛みは難しいです。身体が損傷したことで発生する時もあれば、それによって癖ができ違うところに痛みが起きたり、心理的要因が痛みを作り出したり。。。

話は脱線しましたが、船の鍼師としての経験に戻すと、船は1週間前後でゲストが全て入れ替わります。(1度目に契約した船では10カ月乗っているカップルがいました。2、3ヶ月滞在するゲストは時々います。船を持つより安いのでしょう。)

そうなると、その期間の間に集中して治療するという形式にどうしてもなります。

すると、短期間でいかに早く、また納得してもらえる治療ができるか。

という考えが生まれました。

乗ってる鍼灸師の考え方次第ですが、1週間毎日来ないと治らないとか1日2度こないと治らないと半分脅して説得する方もいるそうです。

私は痛みに関して言えば、心理的な要因が大きく関わらない限り、3度か5度以内で結果がある程度出ると思っています。(完治。となると患者さん自身が自分の痛みと向き合う姿勢なども絡んでくるのでまた別の問題です。)

そうした時に、いかに患者さんの心をこちらに向けてもらい、また、自分の治療方針が間違っていたら思い切って別のやり方に切り替えるなどが要求されます。

そして、相手の懐にいかに飛び込むか、しかも深く。と言うことを考えるようになる中で、相手の心の境界線(プライベートの境界線で、これ以上踏み込んだことを聞かれると嫌がるライン。皆さんもありませんか??)に時には留まり、時には踏み込んだりすることをするようになりました。

その重要性に気づき始めた当初は、正直傷つけてしまった方もいました(今でも忘れません。)が、経験を重ねるうちに少しづつ具合がわかってくるようになりました。

1年たち2年たち、ふと気づいたら、もっと大胆に相手に切り込めるようになる中で、「度胸」が以前よりついたなぁと改めて思いました。

自分で店を持ち開業していれば、いづれその度胸はつくのでしょうが、船でより多くの人とコミュニケーションとり短期決戦を行ったあの日々は、私にその度胸をより早くつけさせてくれたと思います。