英国の、船上の鍼灸師の日記 the diary of acupuncturist on Great Britain, cruise ship

2012年から客船で鍼師として働いていましたが、2017年からロンドンで再び治療家として働いています。治療のこと、クルーズのこと、食べ物のこと。色々綴っていこうと思います。

治療に対する考え方 the way of thinking about treatment

ハントされた動物を捌く〜自給自足の友人のもとで〜

今週のお題「ゲームの思い出」 イギリスでは猟で仕留めた動物の肉を「ゲームミート」よ呼ぶので、この記事を書くことにしました。 先日まで自給自足をする友人の元で1週間ほど居候をしていました。 その中では色々なことがったのですが、思いついた時に、ポ…

「細胞は入れ替わる、身体には知らないことがある」からの「『今が幸せならいいんじゃないか再考』と万引き家族」

お題「これって私だけ?」 30代に入って、同世代と話すトピックの1つに「子供は欲しいか。」ということがあります。特に女性は35歳を過ぎると卵子の状態も悪く、また数も減るため、その現実に向き合わないといけません。 僕はあまり子供が欲しくありま…

共感することの振れ幅

先日、患者さんから「患者は共感して欲しいものだ。」というアドバイスをいただきました。 例えば、「足むくんでますねー。」とか、「腰凝ってますねー。」などなど。 こんなすごくベーシックな共感もあれば、何回も来てくださってる方には「今回は特にここ…

「今、ここ」はどこのこと。感情の中にはないのかな。

私には瞑想のサイクルがあって、今瞑想ないし、自分への心を空っぽにしたくなっているサイクルが来ています。 私が以前参加していた瞑想会では、自分をメタ認知する「気付き」を入れていって自分を客観的に見ていくことを瞑想の目的としていました。 「イラ…

AIは私たちをペット化するか

以前に書いたこともあるかと思いますが、私は患者さんに接する時、この方の身体を機械的に診るか有機的に診るかをまず考えます。 「機械的に診る」というのは身体を建物(破れないテントが一番近いでしょうか)と捉え、どこがどう引っ張り合いっこしてるから、…

鍼灸業界のアイドル

今週のお題「私のアイドル」 このお題をみて改めて考えると、鍼灸ないし治療の業界の人にとって、特にキャリアの初めに「自分のアイドル」となれる人が見つかるかはとても大切なことだなと思いました。 というのも、この業界で絶対と言ってもいいぐらいぶつ…

圧に対して思っていることをちらほらと。

最近、治療をしている中で「圧」についてよく考えます。 陰圧や陽圧などの話は他のサイトに譲るとして、圧はある空間が縮まったり、拡がったりする時に、その空間を構成している境界線にかかる力と言えます。 ーーーーーーーーーーーー 職場の人と不妊治療に…

「笑いは緊張と緩和だ」とは明石家さんまさんの言葉みたいだけど、それは呼吸や人がブログを書いたりするのと同じなのかな

「笑いは緊張と緩和だ」と明石家さんまさんが言っていたみたいという誰かの言葉をずっと覚えていました。 本当にさんまさんが言ってたのかなと思って検索をかけてみたら、さんまさんも含め色々な方がそのように思っておられるんですね。 知らなかった。 笑い…

治療家は僧侶と医者の間にいる その1

私が初めて本格的に東洋医学の勉強をさせてもらったのは、鍼灸の学校に入る前に会社員をやっていた時です。 入学を夏に決め(会社には年末に言った記憶があるので、その頃は会社員を続けていました)、平日は東洋医学の辞書を片手に東洋医学の入門書を読んで…

人に触れること 侵害刺激のない触診2

「脳から身体、内臓まで通じる侵害刺激のない触診の真髄」 セミナーが始まり、まず先生がデモンストレーションされたのが、デモの患者が寝ていて、術者が3mほど離れたところから立ちます。 それで、検者が足を持ち力をいれて挙げられるかというテスト(=筋力…

人に触れること 侵害刺激のない触診1

日本に居た時に書き留めていた内容をアップしておこうと思います。 -------------- 久しぶりに遠方までセミナーに参加してきました。 タイトルは「脳から身体、内臓まで通じる侵害刺激のない触診の真髄」です。 初めは予定の都合で行けなかったのですが、ス…

イギリスと船上の患者さんの違い その2

久しぶりに治療という場に復帰して思うことの続きです。 私は三菱重工に居た時に精神をストレスから病んでしまっている時に、鍼灸に助けてもらったという思いが強くあります。そのため、ストレスで気がめいっていたり、その手前の人の気持ちが人よりはわかる…

イギリスと船上の患者さんの違い その1

イギリスに来てから10日間ほど経ちますが、色々な手続きをしたりとばたばたしています。私が働いているクリニック(イギリスでそう呼んでいいのかわかりませんが)は日本人が多く、日本人しか診ない日もあり、また、スタッフも日本人のかたばかり(一人こ…

治療感想メモ 2日目

ある治療院で治療を受けた時の私のメモ。 当日と翌日の計2回をわけて載せます。今回の掲載は2回目。 ちなみに、主訴は以下の通りです。 1.左脛の知覚鈍麻 2.左肩甲骨内下側部の知覚鈍麻 3.集中力が散漫 4.記憶力が悪い 前日と比べ、1と2はましになったもの…

経絡の存在を信じるか2

「胃の調子を改善させて欲しい。」 勿論、その病態は多様です。胃潰瘍もあれば、逆流性食堂炎、胃下垂などなど。 それらの問題に対し、脈診や問診、触診などを用いて東洋医学的な診断を下し、使う経穴やその経穴に用いる手技(鍼を刺すという行為にも様々なバ…

治療感想メモ 1日目

ある治療院で治療を受けた時の私のメモ。 気になったことは言われたことなども項目に分けて書きました。 当日と翌日の計2回をわけて載せます。 ちなみに、主訴は以下の通りです。 1.左脛の知覚鈍麻 2.左肩甲骨内下側部の知覚鈍麻 3.集中力が散漫 4.記憶力が…

経絡の存在を信じるか

経絡の存在を信じるか この問いにどう考えるかと言うのは、鍼灸師もとい治療家の治療スタンスを知るよい尺度になるのではないかと思っています。 例えば、治療を受けるにあたってその質問をし、回答に納得したら施術してもらうのは、自分と施術家との相性を…

私なりの傾聴の仕方 初めて人の役に立てたかもしれない その3

どうすれば人の役に表面的な意味ではなく立てるのか。 前回は、「共感するとは、自分を抑制すること」なら、共感することへの長期的な落とし穴?について考えました。 私は近しい間柄の人に共感するのが苦手であり、それはつまり、自分を抑制することが苦手…

共感と認知症への私見 初めて人の役に立てたのかもしれない その2 寄り道

「今まで人の役に立てたことってある?」 これを私に尋ねてきた人は、「どうすれば役に立てるのか?」という私からの質問にこう答えました。 「共感する」ことだと。 相手の立場に立ってみる。 よく言われる言葉です。 なんでも明らかにするのは正しいことで…

共感と認知症への私見 初めて人の役に立てたのかもしれない その2 寄り道

「今まで人の役に立てたことってある?」 これを私に尋ねてきた人は、「どうすれば役に立てるのか?」という私からの質問にこう答えました。 「共感する」ことだと。 相手の立場に立ってみる。 よく言われる言葉です。 なんでも明らかにするのは正しいことで…

初めて人の役に立てたのかもしれない 1

「今まで人の役に立てたことってある?」 親しい人に聞かれました。 皆さんはありますか?人の役に立ったこと。 道を譲ってあげた。 ハンカチを貸してあげた。 などなど。 「役に立つ」の幅はとてもひろいです。 でも、その方がその質問をした文脈はそういっ…

喜怒哀楽と身体表現2

(前回のまとめ) 喜怒哀楽といった感情には特有の身体表現があり、以下のように分類されると考えます。 1)特定の感情につながる身体表現 2)特定の感情につながらない身体表現 3)状況で変わる(未分類の)身体表現 例えば、歯を見せて笑うという身体表現は「哀」…

喜怒哀楽のバランスと「いらいら」の未熟さ

前回書いた「人はなぜつながりたいのか」を考える中で色々なことが思い浮かびました。 その1つが今回のタイトルである「喜怒哀楽のバランス」です。 齢が30を超えて思うのが、身体のバランスが崩れてきているなぁということ。 例えば、動くときに一定の箇所…

なぜ深く繋がりたいのか

「人と深く繋がりたいか広く繋がりたいか」「イライラした数秒後に、事件に心を傷める矛盾」からの続きです。 なぜ、私は人と精神的に深く繋がりたいのか。 子供は1人では生きられない。両親やその他、近しい人が育ててくれたから生きられた。 その記憶が、…

身内にイライラした数秒後に、痛ましい事件に心を傷める矛盾

「人と深く繋がりたいか広く繋がりたいか」からの続きです。 「繋がる」で直接的なものといえば、性行為があがるでしょう。 でも、それ以外にも色々あります。例えば、精神的な繋がりなど。 熊本で起きた地震に心を痛めた方が、被災者の気持ちに繋がったため…

人と深く繋がりたいか、広く繋がりたいか

人と深く繋がりたいか広く繋がりたいか。 治療家という職業を選び、どうしてその道を選んだのかを考えた時にそう思うことがあります。 私は満25歳になる歳で鍼灸学校の門戸を叩きました。 それまで、歌手になってみたいなぁとか写真家なんてのも楽しそうだな…

人をみることは人が「絵を描く」その衝動の源に触れることかもしれない 頭蓋に触れる3

前回書いた頭蓋から仙骨までをつなぐ硬膜の呼吸(ここでは第1呼吸とします。ちなみに第2呼吸は肺を通して行う呼吸)の下の層にはミッド・タイド、さらに下にはロング・タイドという呼吸の層があり、ロング・タイドへ近づくほど、その生命体が持つ存在そのもの…

頭蓋骨からさざなみを触れる 頭蓋に触れること2

(あらすじ)6月上旬に参加した「頭蓋」のセミナーのまとめ まず、硬膜へのアプローチから。硬膜は頭蓋骨の内面(骨膜の内側)だけでなく、大脳鎌、小脳鎌、小脳テントという3箇所が頭蓋内に硬膜の中隔(しきりみたいなもの)としてあります。今回は代表的な頭蓋…

船で鍼師として働いてよかったか

タイトルのように自問することがあります。 答えは「イエス」です。 なぜなら、他の同年代の鍼灸師より度胸がついたと思うからです。 度胸。 そんなものが、鍼師に必要かと思うかもしれません。 経験と言い換えても良いのかもしれませんが、経験とだけ言うに…

筋肉隆々の意味を裏返して考えるその2

その一方で、柔軟な身体に自分勝手にはなれないように思うのです。例えば腰だけを柔らかくすることは(自分なりに考えた限り)できません。つまり、股関節に付着した筋肉を柔らかくしようと思うと、膝や足首の関節に機能する筋肉にも結果的に多少は影響を与え…